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対談・インタビュー

千葉市長の問題提起。「男はオムツ替えしない」がこの国のスタンダードでいいのか

千葉市長 熊谷俊人
早稲田大学卒業後、NTTコミュニケーションズ、千葉市議を経て、2009年6月、31歳の時に初当選、当時最年少の市長として話題に。2013年に再選され、現在2期目。1月に「千葉市立保育所男性保育士活躍推進プラン」を発表。自身も二児の父。
インタビュアー 柴田 小夜子(「ほいく男子会」広報)
早稲田大学卒業後、新卒で入社したキャリアフィールド株式会社にて、保育施設の採用コンサルティングを4年間経験後、産・育休を取得。2016年4月より復帰し、現在は1歳の娘を保育園に預けながら、保育施設の採用や運営のサポートを行なっている。

 

「ダイバーシティ」=「女性の活躍」??

柴田:本日はよろしくお願いいたします。今回、熊谷市長の男性保育士活躍推進に向けた発言は、大きく話題になりましたね。千葉市における「男性保育士活躍推進プラン」を策定されたのは、何がきっかけだったのでしょうか?

熊谷:もともと千葉市ではダイバーシティを推進していましたが、女性活躍推進ばかりに目が行ってしまうケースが多く、“ダイバーシティ”=“女性の活躍”になってしまっている状況に疑問を抱いたのです。ダイバーシティというのは、多様性がキーワードなので、これまで女性の活躍しづらい職場を改善してきたのと同じように、男性が活躍しづらい職場があれば、それも同時に改善していかなければならないと考えました。

柴田:様々な職種がある中で、なぜ“男性保育士”にスポットをあてられたのですか?

熊谷:市の職員の働く現場で、女性が多く、男性が活躍しづらい職場を考えたときに、特に出てきたのが、やはり保育所だったんです。そこで、2016年4月に、男性保育士の皆さんとランチミーティングを行い、「保育所の設備の整備(トイレ・更衣室など)」「職務内容の偏り」「保護者からの声」など、様々な意見を聞きました。その内容をもとに、まずは市の職員の雇用主として、職員の勤務環境整備を進めるために発表したのが今回のプランなのです。

柴田:そのあとの市長のFacebookやTwitterには、様々な意見が寄せられていましたね。これほど議論が広がることは想定されていましたか?

熊谷:そうですね。多くの人に考えるきっかけにして欲しいと思って発信した部分があったので、ある程度の話題になることは想定していましたが、正直ここまで大きくなるとは思っていなかったですね。私自身も様々な立場からのご意見を聞くことができ、とても勉強になりました。

柴田:私も、出ていた意見には一通り目を通しましたが、“社会の理解”はまだまだ遠いと感じました。

熊谷:世代による考え方の差も大きいですからね。私が子どものおむつ替えをしていることを知った年配の方に、「家庭内での地位は大丈夫か…?」といったようなことを言われたことを思い出しました(笑)「男性も子育てをすることが世の流れとはいえ、ウンチのおむつ替えまではしなくていいだろう」と。保育所で男性の業務からおむつ替えを排除していたら、そういう考え方がいつまでたっても消えないですよ。

柴田: “社会の理解”というハードルを乗り越えるために、最も大きな課題は何だと思われますか?

熊谷:保育所への理解が一般に進んでいないことが、一番だと思います。これは本当に強調してお伝えしているのですが、保育所に子どもを預けたことがある人は、男性保育士と接したことがなくても、ほとんどの方が男性保育士に理解的であった。反対意見は、保育所に預けたことのない人から出ることが多かったんですね。

柴田:保育所の専門的な役割を理解してもらうことが最も重要だということですね。

熊谷:何度も言う通り、様々な考え方があるのはわかります。反対している方の中には、「自分の娘のおむつ替えは、夫にもさせたくないです」というような徹底した考え方の方もいらっしゃいました。筋は通っていますよね。でも「男性にはおむつ替えをさせないようにしましょう」と、行政や施設の運営側が言ってはいけない。それでは、「男性はおむつ替えをしない」がこの国の子育てのスタンダードだと言っていることになってしまいますからね。

千葉市長インタビューの様子

一過性のニュースで終わらせてはいけない

柴田:市長ご自身も、二人のお子さんを保育所に預けられていたんですよね?

熊谷:はい。保育所に子どもを預けている親の多くが、先生に感謝しているし尊敬していると思います。子どもだけでなく自分も育ててもらっている、その感覚があります。私たち親は、保育施設に全幅の信頼をもって、自分の子どもの命を預けています。そんな先生に「うちの子の裸を見ないで!」なんて、私は言えません。

柴田:「嫌なら預けるな」という極論も出ていましたよね(笑)

熊谷:それはさすがに暴論ですが、それに対して「仕方なく保育所に預けているんだ」という保護者がいるのも悲しいですね。

柴田:「0歳児から保育所に預けるなんて虐待だ」なんて言う人もいるくらいですからね。少なくとも私は保育所の先生を、子どもの発達に関して誰よりも専門的な知識を身に着けたプロとして、信頼して子どもの命を託しています。実際に保育所に子どもを預けている親は、おそらく多くの方が同じように考えていると思いますが…。

熊谷:保育所は、世間的には、まだまだ単なる託児所だと思われていて、専門性が理解されていない。そのせいで、預けている親も社会的に厳しい目で見られている面があると思います。保育所は、単なる子どもを預かるための施設ではない。保育所の理念に沿って子どもたちを育むとともに、預けている家庭の、さらに地域の子育ての質を高めている、とても重要な施設です。その理解を進めていくことが大切だと感じました。

柴田:今回のプランの中では、「男性保育士への理解の促進」として、男性保育士が積極的に外に出ていくことを推奨していますよね。

熊谷:はい。男性保育士による父親向けの出張育児講座や座談会などを通じ、「男性も積極的に子育てを楽しめる環境づくり」にも力を入れていきます。男性が子育てをより身近に感じ、抵抗なく取り組んでいけるための環境を整えていきます。

柴田:性別やその他さまざまな要素によらず皆が活躍できる社会を作っていくために、男性保育士が重要な役割を担っているのですね。

熊谷:そうです。せっかく話題になったんですから、一過性のムーブメントで終わらせてしまってはいけない。全国に広げないと、と思って市長仲間にも声をかけていこうと思っています。

柴田:ほいく男子会では、保育の取り組みに先進的な自治体をもっと紹介していきたいと考えています。民間と行政で協力しあいながら、取り組みを広げていきたいですね。千葉市に追随するぞ!という行政の方などいらっしゃいましたら、ぜひご紹介ください!本日はありがとうございました。

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「ほいく男子会+10%」では、保育環境の整備に積極的な行政を紹介していきます。TOPメッセージとして取材にご協力いただける自治体を募集しています。
 お問合せ先:
 ほいく男子会+10%(キャリアフィールド株式会社内) 担当:柴田
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