12月7日(水)13:30~15:00、「ほいく男子会スタートアップ ミーティング」をキャリアフィールド株式会社(東京都渋谷区)のセミナールームにて開催しました。保育園経営者・園長等13名が参加し、「男性保育士を受け入れるために」をテーマに意見交換しました。
初回ミーティングということもあり、「男性保育士の受入れメリットとリスク」「受入れの環境を整えるために」等大枠のテーマからスタート。
多様な価値観を受け入れない保育業界は遅れている!?
Q.まずは、男性保育士受入れのメリットは何でしょうか?
「どちらかの性別に偏らない環境は、子どもに多様な価値観を提供できる」
「職員同士の風通しがよくなる」
「職場全体のモチベーションが上がる」
「遊びや仕事の幅が広がる」など、参加者の経験に基づいた様々な意見が出ました。
『育児の共同参画が求められる中、保育業界は、未だに女性中心の業界。保育の専門家であるべき業界が明らかに遅れている。
今の子どもたちが大人になるころには、更に働き方、性別、人種など多様化していくことが予測されます。多様化していく未来を生きていく子どもたちのためにどのような環境を作っていくのかを真剣に考えなければならない』
男性保育士の受入れに設備は関係ない!
男性保育士を受け入れることができない理由としてよくあげられる「設備」。
そして賃金・キャリアパスの問題…
Q.どんな「設備」を整えれば、男性保育士を受け入れられると思いますか?
「トイレや更衣室・ロッカーについては、工夫次第でどうにでもなる」
「設備は整っているに越したことはないが、それが入職の妨げになったり離職の原因になったりすることはほとんどない」
「私たちの園では、設備はしっかり整っている。それでも辞めてしまう男性スタッフもいる。別の部分に課題を感じている」
男性保育士をすでに受け入れている施設では、設備は課題ではないと感じています。実際に、“更衣室を交代で使用する” “トイレは便座を下げるよう指導する(笑)”など工夫や教育で乗り越えられることが多いようです。
Q.「賃金を上げていくことができないから男性保育士を雇えない」という意見についてどう考えますか?
「共働きが一般的になる中で、男性だけで家計を支える時代ではなくなってきた」
「すごく儲かるという職種ではないが、家庭を作るのに不足ない金額は出せている」
という意見が多数を占めました。しかしながら、キャリアアップなどで継続的に給与をアップさせ続ける仕組みについては、今後も検討・改善が必要だとの意見が多く出ていました。
「保育士の専門性を活かして、子供向け応急手当講師や地域の絵画教室講師などの副業もOKにしている」といった先進的な意見も出ており、各園様々な取り組みで職員をバックアップしていることが伺えました。
給与を上昇させにくいといわれる保育業界ですが、経営者の工夫や努力次第では、まだまだ改善できる点はあります。保育業界が遅れているということは、その分参考にできる業界も多いということです。
理解してもらうのは経営者や園長の役割!
世の中には、ニュースに出てしまうような問題を起こす男性の保育士もいます。そんな時メディアでは、必要以上に「男性」ということを強調しているようなケースもあります。また、女性の多い職場に男性が入ってくるとなると、受け入れる職員との関係も考えなければなりません。
Q.男性保育士を採用るすることにより職員関係に関して、どんな配慮が必要ですか?
特に管理職など、立場が上の女性職員との関係性が問題点として挙がりました。
「男性に保育のことがわかるのか」
「男性だからって目立つことばかりやって保育がおろそかになっている」等といった声が職員(特に管理職)から挙がることがあるといい、
これからの保育の現場管理者には、多様性を理解していくための教育が必要であると感じます。
Q.保護者から見た男性保育士のマイナスの意見にはどのように対処したらよいですか?
「男性保育士にはオムツ替えをさせないでほしい」といった園に対する要望だけでなく、馬鹿にしたように「なんで男性なのに保育士やってるの?」「給料安いのに家庭持ってやっていけるの?」といった、職員に対する直接的な声もあるようです。
そういった、いわれのないクレームや偏見の目を向けられた際、「上司や先輩がかばってくれない」ケースも多く、守るべき仲間を差し出してしまうことも少なくないそうです。
参加者の中には、「働いてもらう男性保育士に、偏見はあるものだときちんと伝えている」という園長もおり、職員や保護者の理解を得るためには、まず経営者が多様性を理解していく努力が必要だとの意見も出ていました。
保育士の給料を本当に上げていくには…
今年は「日本死ね!」から注目されてきた保育業界ですが、保育士給料安い問題は、事業者抜きで議論され、政治のネタやキュレーションサイトのネタにされていたようにも見えます。
今回のミーティングでも、
「給与が上がることは悪いことではないが、無条件で一律というのは問題」
「給与を本当に上げていくには、保育の質と保育士の質向上は必須」
と議論が進み、“男性保育者の受け入れ”という枠組みを超えて、“保育士の専門性の確立”“保育士の質の向上”が全体の課題であることが、浮き彫りになりました。
そのために具体的に何ができるのか?
その辺りについて「第2回ほいく男子会ミーティング」で意見を伺いたいと思います。
次回「ほいく男子会ミーティング」は2/8(水)
- 日時 2/8(水)13:30~15:00
- 会場 キャリアフィールド株式会社セミナールーム(渋谷)
- 人数 10名程度
- テーマ 「保育の質向上のためにできること・やるべきこと」
- 「男性保育士の理解のために、できる情報発信の方法」
参加希望の園長・経営者の方は、こちらからご連絡ください。
また、見学を希望される広報ご担当者様も併せて募集いたします。
スタートアップミーティング参加者一覧(法人50音順・敬称略)
- 宇田川 三郎(株式会社グローバルキッズ取締役)
- 和久津 肇(特定非営利活動法人ケンパ・ラーニング・コミュニティ協会理事長)
- 藤井 威郎(社会福祉法人聖心福祉会園長)
- 渡部 史郎(社会福祉法人つばさ福祉会常務理事)
- 中嶋 雄一郎(社会福祉法人つぼみ会園長)
- 岩崎 将吾(認定NPO法人フローレンス園長)
- 森永 紗希子 (認定NPO法人フローレンス保育スーパーバイザー )
- 堀 晴久(株式会社ぶどうの木代表取締役)
- 物井 洋介(社会福祉法人聖愛学舎理事長)
- 山本 慎介(社会福祉法人わかたけ会理事長)
- 大嶽 広展(株式会社 船井総合研究所コンサルタント)
- 都築裕一(キャリアフィールド株式会社代表取締役)
- 柴田小夜子(ほいく男子会広報)